今年度、下市町をベースとして実施されているサービスラーニング「コミュニティ・リサーチ」は、大学(生)が「媒介項」となって、地域を超えた2つの住民団体の交流創出を企図するプログラムです。授業を担当してくれているのは、奈良女子大学文学部と工学部の教員、および下市町在住の特任助教です。
明日香村の南隣にある高市郡高取町は、日本三大山城にも列せされる高取城とその麓に形成された城下町で特徴的な街です。高齢化のなか、観光ボランティアガイド団体が結成され、地域の魅力の掘り起こしや観光PRに大きな役割を果たしています。メンバーの多くは高齢者です。一方私達のエクステンションモデル地域である下市町にも観光ボランティアガイド団体があります。さほど遠くない2つの町の団体ですが、これまで、つながりがありませんでした。
そこで、この2つの団体に交流を創出し、より広域で魅力的な観光ガイド活動が立ち上がるきっかけを作ろうという狙いのもと以下のような授業プログラムが実施されました。
・5月27日下市町のガイド団体が高取町を訪問し、本学学生といっしょに、高取町を案内いただく。その後、全員でディスカッションを行う。
・この日の夜、学生は下市町の家庭に民泊し、農山村の生活を体験する。
・翌28日、今度は高取町のガイド団体が下市町を訪れ、学生といっしょに、下市をガイドしていただく。その後、全員でディスカッションを行う。
2日間のプログラムには、両町のボランティアガイド団体メンバーの他に、高取町社会福祉協議会、下市町役場職員も参加し、全員が交流を深めました。
2日目の朝には、高取町の皆さんに、奈良女子大学下市アクティビティセンターを見学いただき、「奈良エクステンション」の理念や方法について説明しました。高取町の方も大変、その主旨に賛同くださり、ぜひ高取町にもエクステンションを、という意見が出ました。
2日間の授業の成果はすぐ現れました。高取町のガイド団体から、下市町のガイド団体に、奈良県内で結成されているガイドの連絡会への参加が打診されました。これで、下市町のガイド団体のつながりも大きく拡大するかもしれません。
一方受講生は、こうした経験から社会調査の方法を学んでいます。調査に基づいた経験から、両町に関する観光コースの提案を作成中です。
7月1日に、下市町で、これらの授業の成果発表会を行う予定です。