奈良国立大学機構 奈良型エクステンション ブログ

奈良国立大学機構が試行する地域連携の社会技術「奈良型エクステンション」モデル3地域を中心とした紹介です。

【共同研究】下北山村における不登校児童生徒の山村留学に関する実践的研究

下北山村にある株式会社リヴァ(ムラカラ事業部)と奈良女子大学臨床心理相談センターによる共同研究が、奈良女子大学社会連携センターの地域連携事業として採択されました。

ーー以下 研究計画書の概要から抜粋ーー
【研究題目】
下北山村における不登校児童生徒の山村留学に関する実践的研究
【研究組織】
・研究メンバー:伊藤美奈子(奈良女子大学生活環境科学系・奈良女子大学臨床心理相談センター)、
・学外連携機関:下北山村役場、株式会社リヴァ(東京都)ムラカラ事業部(下北山村
【研究目的及び内容】
奈良県の南部に位置し、村内の大部分が吉野熊野国立公園に指定される下北山村は、交通も不便で過疎化・高齢化が進んでいる。村立の保育園・小学校・中学校が各1校園あるが、少子化により存続が危ぶまれている。この豊かな自然環境を生かし、村と企業と研究機関が協働し、不登校の児童生徒のための山村留学を誘致するためのプログラム構築と、その実践知を地域に提供することが、本事業の目的である。不登校児童生徒とその保護者が自然豊かな村内施設に滞在しながら、地元の小・中学校に通うことで、自然の中での癒しと多様な教育機会を提供し得ると同時に、地元公立学校の存続と活性化にも寄与することが期待される。他方、この村には、うつや双極性障害患者が疾病の回復を目指しつつ人生を再出発するための宿泊型転地療養サービス企業(リヴァムラカラ事業部)が参入している。この企業と臨床心理を専門とする大学職員との連携により、支援の対象を小・中学生やその保護者にまで広げることで、不登校児童生徒への心理的・医療的なケアとその保護者へのサポートも可能になると考えられる。
【予想される研究成果】
・山村留学に取り組むことで、地元小・中学校の統廃合や過疎化に歯止めをかけ、地域の人材(伝統産業やスポーツなど)や、村が保有している資源(とくにスポーツ施設や温泉など)を最大限に活かし、村全体の活性化にも大きく寄与し得る。メンタル面への支援のプロである企業と組むことで、留学してくる不登校児童生徒や保護者にも安心感がもたらされ、十分な成果が上がることが期待される。また、こうした知見は、奈良県中山間地域における本学の地域連携事業にも活かせるものと考えられ、そうした事業にあたる教員への知見の提供が期待される。

奈良女子大学社会連携センター 地域連携事業(2022年度採択)>