奈良国立大学機構 奈良型エクステンション ブログ

奈良国立大学機構が試行する地域連携の社会技術「奈良型エクステンション」モデル3地域を中心とした紹介です。

【書籍紹介】『協同エクステンションをとおした教育』2012年

 この本は、実際にCESに携わる人々が著者となってそこで活動したりそれを支えたりする立場の人たちのための教科書としてアーカンサス大学で出版されたものです。すでに2012年で第3版ですので、長く支持を受けているのでしょう。しかし、まずCESに携わる人々のための教科書が出版されていることに驚かされます。本は大判の書籍で、わかりやすい図表や課題など入った、まさに教科書です。

 

Brenda Seevers and Donna Graham,"Education Through Cooperative Extention (3rd.)" 2012,University of Arkansas.

以下に、少し長いですが、本書の序文には次のようなことが書かれていました。

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序文 

 協同エクステンション(CES)は、世界最大の非正規教育組織であり、変化する社会の懸念に優れて対応してきたことで広く認められています。本書は、CESの組織、運営、プログラムについて包括的に概説しており、CESの基礎、歴史、哲学についても詳しく説明しています。
本書は、非正規教育に関する学部クラスの入門テキストとしてデザインされているが、幅広い層の読者にも役立つはずです。理想的には 本書は、農業改良普及の分野でキャリアを積みたいと考えている人々のための、就職前のテキストとしても理想的でしょう。管理職の方であれば、新任の普及員に対するオリエンテーションや研修の一環としてこれを提供するのもよいでしょう。また郡事務所や教区事務所の職員は、農業改良普及協会の組織や機構に不慣れな協議会や委員会と協働する際に、この本が役立つはずです。また、留学生や政府関係者など、CESの組織・機構の概要に関心のある方々にもお薦めです。
このテキストは、CESがどのように運営されているかを説明します。そして最後に、このテキストを大学院の授業で使い、学生たちが批評し、改訂することを期待しています。
 この本の著者達は、それぞれ、CESで豊富な経験を積んでいます。私たちがエクステンションで働き始めたのは20世紀半ばにさかのぼり、今日に至っています。私たちの経験には、郡、地域、州の役職が含まれます。私達は皆エクステンションに関連する講座を担当し、非形式的な教育への新しいアプローチに常に関心をもっています。私たちは、自分たちが使える本をまとめたというわけです。そしてこれを皆さんと共有できることに興奮しています。


<各章の概要> 
・第1章 エクステンションの組織についての簡単な紹介と、その理念と使命についての考察 
・第2章 エクステンションの発展に影響を与えた要因の歴史と、それがどのように今日の組織へと発展してきたか。
・第3章 現在のエクステンションの組織構成と運営、一般的な資金調達と人員配置のパターン、運営プロセスについて詳しく解説。
・第4章 ほとんどの活動と教育的努力の基礎となっている主要なプログラム分野の説明
・第5章 いくつかの計画モデルのレビューを含む、プログラム計画プロセス。この章と次の3つの章では、ノンフォーマル教育プログラムの開発、実施、評価の方法について詳しく説明する。
・第6章 教育と学習過程における要因。非形式的な学習状況に適した実践と関連した教育理論を紹介している。
・第7章新しいテクノロジーを含む、エクステンションで使われる多種多様な伝達方法の詳細。
・第8章 プログラムの評価、プログラムの効果測定、説明責任。
・第9章 改良普及教育の重要な構成要素としてのボランティアの役割と、効果的なボランテイア・プログラムの管理について
・第10章 国際的なエクステンションのさまざまな構造の概要。多くの国々が特に農業に関する情報を広めるために、改良普及プログラムを発展させてきた。| 


 CESは、ユニークで複雑な存在です。私たちは、組織と方法に関する最新の情報を提供することを試みました。
願わくば、このテキストがCESという真に唯一無二の仕組みを正確に記述できたことを願っています。

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